合気之術の解説改              

 

合気機先拳研究会の目的は、誰でもできる弱者のための護身術の普及です。

 

【解説1】大東流の上げ手(揚げ手) 25.8.10

 

 武田惣角先生が講習をした最初の科目が「座捕りの上げ手」です。武田先生が小手を「掴め、掴め」と言い、入門者が掴むと腰が上げてしまう。逆に先生が掴むと、入門者は動くことができない。これで、武田先生は凄い、ということになるのです。

 古柔術では入門をすると、最初に「手解き」つまり「抜き手法」を教えます。

先ず先生が入門者の手首を掴むと、弟子は動くことが出来ません。次に入門者が先生の手首を頑張って掴んで見ても、先生は容易に外してしまう。これで先生を尊敬してに習うようになるのです。このように手解きの目的は、入門者が素直に習うようにすることです。(武道ではこれが大事でのです)

この柔術の「手解き」から、他の技芸や学問の世界でも手解きという言葉が使われるようになりました。

 

 古柔術ではこの方法を直ぐに教えます。

 

【内手捕り】①相手が手首を掴んでくると、自分の小手を十分に張る。②小手を回して相手の親指と示指との隙間に合わせる。③自分の親指は手前に、肘は前方に、掴んだところを支点として、テコの理により静かに外す。このように伸筋力とテコの理を習うのです。

 しかし、武田惣角先生の場合は、入門者は凄いと思っても、上げ手の方法は教えないので、自分で工夫してないのですが、これは無理というものです。強く掴んでくると、リキムのは当たり前で、つまり大東流は、普通の人には習うことができないのです。

 佐川幸義先生の場合は、父君が道場を作り3年間個人指導を受けたのですが、上げ手の方法は習っていません。佐川先生は父君と二人で上げ手を工夫して、上げることは出来るようになりましたが、理は分からないと言っていました。ただ「佐川先生は17才のときに上げ手の理が分かり、父君に説明した」という人も居ますが、これはあり得ないことです。(上げ手の理が分かると、体之合気も分かるのです。)

 

昭和45.1.9(1970.1.9)吉丸聞き書き

 しかし他の人は結局判らず、わしはなぜ上がるのか熱心に考え、遂に会得した。

 

 

 

大東流では第三十五代宗範・武田惣角先生が、死の床で高弟に手を取らして教えた技は、

「力抜きの秘法」であったという。--合気を学ぶ者、この秘密を解かねばならぬ

合気之術』昭和31年5月1日発行 立山一郎著

 

 武田惣角先生は、大東流を普及したいなどは考えていないので、篤志な人が一人でも二人でも居ればよいと考えていると勘ぐっています。しかも武田先生にしても理論など考えていないので、手を取って教えるしかないのです。ただ手を取って教えたのは、最後の弟子である山本角義先生一人です。

 ということで立山一郎著『合気之術』の中に、大東流の「力抜きの秘法」を佐川幸義先生に教えたという挿話があるのですが、その内容は分かりません。しかし、佐川先生のお話から、私が考えた方法は『合気之術の科学』副教材です。

 

【1.大東流上げ手の完結版】

 上げ手には基本形と合気を掛けた上げ手との二つになる。

 

 

             上げ手

 

 

基本形

 

 

合気を掛けた上げ手

 

 講習では、基本形しか教えません。例えば岡本正剛先生の動画を見ると、合気を掛ける上げ手になっています。

 合気を掛けるとは、これは吉丸の新説「合気を掛ける」ことで、「機先で出ること」です。機先で出るとは、「後之以発、先之以至」こと。つまり「遅くて発し、先じて至る」技です。

 「合気を掛ける」という言葉はあるのですが、「これも合気だ」「それも合気だ」と言っていて、その定義がありません。したがって私は「機先で出ること=合気を掛けること」と定義しました。

 

【座捕り、上げ手の基本形】

1.正座して膝に両手を置く。

2.相手は両手首を掴む。

3.手先はこのままで小手を張る。これが大事で、これを忘れると上げることはできない。

 手解きでも、相手が掴んできたとき先ず小手を張る。これが一番大事です。

  理論では、互いに小手を張る、つまり合気になるのです。

4.次に自分の力を抜く。力を抜くと言っても、ヨガの死体のポーズのように完全に力を抜くのではなく、剛弛緩力から柔弛緩力に移動することです。柔弛緩力とは、たとえば優しく握手した力です。

5.肘はこのまま手先から上に上げる。このとき相手の手首関節を崩す。

 佐川先生は、手の働きを考えれば分かると言っていましたが、分かったのは40年後のことでした。

6.これから上げ、更に腰を完全に上げる。

 

【立ち技、上げ手の基本形】

 これは武田惣角先生の講習の科目ではないのですが、踵を浮いてしますようにできます。

 

                                                                 25.8.10